五味庠主のことば(令和7年11月23日)
「人の己れを知らざるを患(うれ)えず、人を知らざるを患うるなり」
『論語』学而(がくじ)の結びの一節で、はじめにある「人知らずしていからず、亦君子ならずや」と呼応して響きあう言葉である。気に病むべきは自分が他人に認められないことではなく、他人を認めることができないことだ、と受動的な発想を主体的な発想に逆転させている。
多くの人は他人から認められようとの思いにかられてしまうが、そうではなく自分が他人を認めてゆくことこそ求めるべきである、というものであって、私も若い頃は、他人から褒められよう、評価されよういう思いから行動してきたことがしばしばあったが、おそらく皆様もそうした経験はおありでしょう。
とはいえ、この言葉を発した孔子のような精神の強靭さを持ち合わせることは容易でなく、ついつい他人から認められることにばかり走ってしまう。そうした時には、この言葉を思い出してかみしめてみる必要があり、『論語』学而に、「吾れ日に三たび吾が身をかえりみる」とあるので、こうした反省の心が重要である。
令和7年11月23日
史跡足利学校庠主 五味文彦
掲載日 令和7年11月19日
更新日 令和7年11月29日
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