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五味庠主のことば(令和4年11月23日)

薄氷を踏む

 

  『論語』の泰伯(たいはく)巻三に「詩に云う、戦戦兢兢(せんせんきょうきょう)として、深淵(しんえん)に臨むが如く、薄氷(はくひょう)を履むがごとし」とあります。この言葉を『詩経(しきょう)』から引用した孔子の弟子曾子は、臨終の時に門弟たちに、これから先は、心配なくなるのだ、と語ったといいます。

 

  曾子の一生は、薄氷を踏むようなものだったのでしょう。足利学校が創設された頃に、金沢文庫を整えた金沢顕時(あきとき)は、モンゴルの国書が到来した翌年の文永六年(一二六九)から弘安八年(一二八五)にかけての十余年を「ただ薄氷を踏むがごとく候」と記しています。文永九年の二月騒動に続き、モンゴル襲来をへてこの年に親しい安達泰盛(やすもり)が誅殺された事件などが起きていたからです。

 

  足利氏にとっても、これ以前、北条時頼に嫡子の時宗が生まれると、足利泰氏(やすうじ)が自由出家を理由に政界から遠ざけられ、以後、薄氷を踏む思いで過ごしていたことでしょう。足利学校はこの時期に創設されたのです。

 

  皆さまも人生を振り返れば、薄氷を踏む思いは多々あったことでしょう。あるいは、今がまさにそうした時期にあたっており、過ごしている方も多いことでしょう。私も何度かそんな時期を過ごしたことがあります。その時には、つとめて冷静に周囲を見つめ、学問に心をこめ過ごしてきましたが、皆様はどうされましたか、またどうされますか。

 

令和4年11月23日
史跡足利学校庠主  五味文彦


掲載日 令和5年2月1日
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