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絹本著色 武陵桃源図(田崎草雲筆)
(大きさ) 縦102.2cm 横42.2cm ※本紙の大きさ
画面上部に、桃花が咲き乱れる長閑な山村風景を描き、険しい山々を挟んで描かれた画面下部には、水際に舟を泊めて上方の山村へと誘われるように歩く漁師が描かれています。これらのモチーフから、中国の詩人 陶淵明(西暦365~427)の作品で、「桃源郷」の語源となった『桃花源記』を主題とする絵画であることが分かります。
群青・緑青・朱・代赭などの良質な顔料(岩絵の具)を豊富に用い、岩山には金泥で稜線や皴(岩のひだ)を表した、いわゆる金碧山水図の一例で、弘化3(1846)年に製作された、若き田崎草雲が「梅溪」と号した時代の作品と見られます。
画風は、行体(やや崩した描法)の南画(文人画)的筆致と、楷体(一筆一筆を正確に描く描法)の宮廷画院的な緊密な筆致とが併存しています。この画風は、草雲の江戸での師である谷文晁(西暦1763~1840)が目指し、またお家芸としたものであり、青年期の草雲の画風として相応しいものといえます。
掲載日 令和5年2月1日
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