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紙本墨画 鍾馗図(しほんぼくが しょうきず)
中国の民間伝承として語り継がれる道教系の神、鍾馗を正面からとらえた絵画である。
体の輪郭線を流れるように一気にかき上げた線が、鍾馗の躍動あふれる容姿をさらに効果的に表現している。
また、腕、足などの筋肉が力強く描かれ、全体として重量感を出している。顔全体を覆い、焔立つように描かれた髭の勢い、大きくそして鋭く見開かれ右上を睨むような眼、力強く踏み込む右足の筆勢からも威風堂々たる鍾馗が迫力をもって十分に描かれている。
画面全体から立体感や奥行きが感じられ、若き草雲が狩野派、文晁派の技法を習得していたことが見てとれる。
全体的に鍾馗の描き方に気負いが見られるものの、本紙からはみ出すかのような勢い、迫力、躍動感あふれる筆致をとおし、暴れ梅渓と呼ばれた当時の草雲の気迫が見事に伝わる作品である。
掲載日 令和5年2月1日
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