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至誠通天(42) 心の中で誓ったこと

印刷用ページを表示する掲載日:2017年6月1日更新

足利市長 和泉 聡

  記者の時も、市長になってからも『現場主義』ということを心がけてきました。なぜか。現場に立つことで初めて見えてくるものがある。もちろんそうなのですが、それ以上に大切なのは、現場に立つことで芽生える覚悟、
沸々と湧き上がる決意、そちらの方が大切だと思うことがあります。私が市長になってから、幹部職員と手分けして、全保育所、小・中学校の卒業式にお邪魔しています。居並ぶ子どもたちの凛とした顔を見て、「この子たちのために、歯を食いしばってでも、いいまちにしていかねば」、そういう決意を幹部たちには、新たにして欲しい、そう思うからです。
 
 先日、市内のある工場を見学させてもらったときのことです。帰りがけに、従業員さんたちにお礼を言って回ると、油まみれになった作業服姿の従業員さんが、「市長さん、がんばってください」と、小さな声をかけてくれました。申し訳なさそうに慌てて、黒く汚れた手を作業服にこすりつけてから、差し出してくれました。「ありがとうございます」と、私はその手をしっかり握り返しました。
 
 この瞬間の少し汗ばんだ手の感触とぬくもり、従業員さんの姿が、私を市長の仕事の原点に立ち返らせてくれたのでした。
ただ、毎日、つつましやかに、現場で汗まみれになりながら、家族のため、会社のために黙々と働いている。声高に何かを要求するのではない、ただ静かに、でも懸命に生きている。声はあげないけれど、こうした一生懸命に生きる人たちが、この足利にはたくさんいて、その一人ひとりが私たちのまちを形作っている。
 
 「がんばってください」という、一瞬の小さな声から垣間見えた、その向こう側にある、この声なき声にこそ、応えていかなくてはならない。二期目を迎え、その時の従業員さんの姿を思い出し、そんなことを心の中で誓ったのでした。