ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 市長の部屋 > 至誠通天(38) ハドソン川の奇跡

至誠通天(38) ハドソン川の奇跡

印刷用ページを表示する掲載日:2016年11月1日更新

足利市長 和泉 聡

  映画『ハドソン川の奇跡』をみました。2009年1月15日、乗客155人を乗せた旅客機がニューヨークの空港を飛び立った直後、鳥の群れと衝突し、両方のエンジンが壊れた。機長と副操縦士の的確な判断で、ハドソン川への緊急着水を選び、全員が無事救出された事実に基づく素晴らしい映画でした。 
 

 印象に残った場面が二つありました。ひとつは、英雄視されていた機長が「奇跡が起きたのは、私ひとりの力ではない。乗員や救助に来てくれたフェリーの乗組員など、チームの力だ」と言った場面。もうひとつは、「乗客は155人だったが、その一人ひとりの向こう側には家族がいて、友人がいる、すごい数字だよ」と語った場面でした。
 

 私は、オバマ米大統領が広島に行くことが決まった直後、ローマ在住の作家、塩野七生さんが朝日新聞紙上で「(オバマ氏に謝罪を求めないと)決めたのは安倍晋三首相でしょうが(略)誰かが進言したのだと思います。その誰かに、次に帰国した時に会ってみたい」と語ったことを思い出しました。
 

 私が若い頃、記者を目指した心境はこうでした。「例えば2つの国が大きな合意をして指導者がにこやかに握手をしている写真が新聞に載る。実はその合意に至るまでには、たくさんのスタッフたちの壮絶な折衝や汗だくの作業がある。そしてそのスタッフ一人ひとりに人生があり、家族や友人がいる。1枚の写真の向こう側に広がる、そんな世界を垣間見て記事にしたい」
 

 脚光を浴びるのは1人でも、その奥には常にチームの力と、そのチームを構成するメンバー一人ひとりの人生と人間模様が渦巻いている。いつもそういう背後に広がる世界のことに思い至らせたい。そんな想像力を市長の仕事をするときも大切にしたいと思っています。