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至誠通天(32) 『下町ロケット』の精神

印刷用ページを表示する掲載日:2016年5月1日更新

足利市長 和泉 聡

 年度末の3月、今年も保育所、小中学校、高校、大学と卒業式にお邪魔しました。卒業生たちに祝辞で私は、愚直な努力を忘れない日本人の精神性について話をさせてもらいました。昨年、話題をさらったテレビドラマ『下町ロケット』のある場面が、このことをよく表現していて、とても印象深かったからです。
 

 池井戸 潤さん原作のこのドラマは、下町の小さな町工場が、国産ロケットの重要部品を手がけたり、心臓に埋め込む特殊な人工弁の開発に携わり、心臓の難病に苦しむ子どもを救ったりと、見る人を引き込む物語でした。その中で、人工弁の開発に行き詰まる若手技術者に町工場の社長がこう語りかける場面がありました。
 

 「数式で開発できる部分は実は易しい。でもあるところまで行くと、理屈では解き明かせないものが必ず残る。作って試してまた作る。失敗し続けるかもしれない。だけどな、独自のノウハウってもんは、そういう努力からしか生まれないんだ。スマートにやろうと思うなお前ら。泥臭くやるんだ。頭のいい奴はな、手を汚さずにきれいにやろうとうするからだめなんだ。ものを作るっていうのは、頭じゃないんだ、手とな、心なんだよ」。日本のものづくりがどうして世界に冠たる地位を占めることができたのか。私はこの場面にその答えの一端を見る思いがしたのでした。
 

 ものづくりに限らず、敗戦の焼け野原から日本を世界の先進国へと押し上げてきた原動力には、常に日本人が持ち続けてきた、数式や理論や理屈でカバーしきれない部分を愚直な努力で補うという精神性があったのだと私は思っています。
 

 愚直な努力を忘れない、そんな生き方を貫いてほしいと、卒業生たちにエールを送らせてもらいました。