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至誠通天(27) ふるさと納税と社会規範

印刷用ページを表示する掲載日:2015年11月1日更新

足利市長 和泉 聡

 全国各地で、ふるさと納税のお礼に豪華賞品をつけ、たくさんの寄附を集めるところが増えています。足利市もこの豪華賞品合戦に参入して、寄附を集めるべきか否か。私も職員も随分悩み、議論を重ねました。答えは参入すべきでない、でした。

 私は、いいまちにしていくには、損得を超えた価値観が大切だとずっと考えてきたし、このコラムでも何度も書いてきました。年に5度ほど行っている市長塾でも、中学生たちには、社会規範(金銭や損得ではなく、愛や使命感、誇りなどを価値判断の基準にすること)の大切さを話し、その例示として次のような話をします。

 「混雑した電車で座っていたら、目の前に杖をついたお年寄りが立った。あなたは席を譲った。その気持ちは、そのお年寄りから、何かご褒美や対価をもらおうと思って、したのではないよね。いたわりの気持ち、お年寄りを大切にしたい気持ちからだよね。社会規範で行動するとはこういうことを言うんだ」

 豪華賞品合戦を耳にするたび、私は電車での席の譲り合いの場面が頭の中で重なり合います。電車でおじいさんが目の前に立った。すぐ隣に、おばあさんも立った。おばあさんに聞くと、席を譲れば200円くれるという。おじいさんは100円くれるという。だったら、おばあさんに席をゆずろう。豪華賞品合戦は、これと同じことではないのだろうか。本来、金銭や損得と無縁のはずの善意が、賞品合戦によって、ゆがめられることになりはしないか。

 いま足利市では、ふるさと納税(応援寄附金)に寄附いただいた方には、金額にかかわらず、全員に私が直接お礼の電話をし、足利の思い出の場所の写真や、足利学校の入場券などをお贈りしています。