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至誠通天(18) 先を見据えた覚悟をもって

印刷用ページを表示する掲載日:2015年2月1日更新

足利市長 和泉 聡

 年初のニュースで最も印象に残ったのは、トヨタが燃料電池車に関する5680件もの特許をすべて無償で公開するというものでした。特許といえば、最高の企業秘密、それを敢えて公開するのはなぜか。自社が先行して開発を進める燃料電池車を普及させ、将来に渡って市場をリードする地位を維持していく。そうした長期戦略に基づくものだと知りました。
 

 その3日前、日経新聞で始まった連載「トヨタ その先へ」の1回目の見出しは「今だけ強くてもだめだ」。生産が年間1千万台を超え、株式時価総額26兆円、日本の公共事業費を上回る6兆円もの現金を保有する巨大企業。誰の目にもその地位はゆるぎないものに見えるのですが、そうした状況に、あぐらをかかず、「30年先を見据えて経営をしなければだめだ」とするその姿勢に改めて敬服しました。そしてこの姿勢には、まちづくりにも通じるものがあると思いました。
 

 私は幹部たちへの年頭の訓示で、いま『マッサン』で話題のウイスキー造りに触れ、ウイスキーは樽の中で5年、10年と熟成する間、1年で2~3%も蒸発してしまうことを話しました。この蒸発を惜しんで、樽の中から出してしまえば、深い味わいのウイスキーを手にすることはできない。まちづくりにおいても、短期的で即効性のある施策を進めることも欠かせませんが、30年後を見据えた姿勢を忘れてはいけません。
 

 目先のことに振り回されるだけなら、まちも薄っぺらなものにしかならないでしょう。このまちにとって真に必要なことは何かを見極めて進む、そうした覚悟と姿勢を市民と行政が共有できれば、きっと力強い歩みになっていくはずです。トヨタの特許公開のニュースから、そんなことを思いめぐらしたのでした。