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至誠通天(7) 柔軟性を大切にする

印刷用ページを表示する掲載日:2014年2月1日更新

足利市長 和泉 聡

 記者をしていた時、仕事のおもしろさを感じたのは、取材前に持っていた印象や既成概念が、取材をしていくうちにどんどん崩されていく、そんな瞬間でした。

 たとえば、ある町でいじめによる自殺が起きたとします。教育委員会や学校の対応が後手に回ったのが原因だと思って取材を進めると、実は自殺の前日、両親からきつく叱られていた事実をつかんだりする。教育委員会や学校ばかりが批判の矢面に立っているけど、問題はもっと根深く複雑で、いじめ以外の要素も微妙に絡んでいる。どこかひとつを批判すれば済むような単純な状況ではない。そんなことがわかってくるうちに、取材前に持っていた印象が、ずいぶんと変わってくる。こういうことがよくありました。こうしたプロセスと印象の変化を、できるだけ忠実に記事に落とし込む努力をしました。

 市長になっても、同じようなことが起きます。就任前は、Aだと思っていたことが、市長になって職員からさまざまな説明を受け、情報を得るうちに、極端な時はZにまで印象が変化することさえあります。そういうときは、その変化に忠実に自分のイメージも修正し、政策立案に臨む姿勢も変えていく。それが柔軟性であり誠実であるということだと思います。

 記者の中には、最初に結論ありきで、取材でそれに反する情報をつかんでも、それは切り捨て、自分の結論に沿う情報だけを使って記事をつくる、そんなタイプもいました。しかし、それでは読者に誠実に記事をつくることにはなりません。市長の仕事も同じだと思っています。