ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 史跡足利学校 > 初代史跡足利学校庠主

初代史跡足利学校庠主

印刷用ページを表示する掲載日:2011年12月6日更新

史跡足利学校初代庠主・中村 元博士の写真

足利学校初代庠主
中村 元(なかむら はじめ)

■プロフィール■
1912年/
11月28日松江市殿町に生まれる
1936年/
東京帝国大学文学部印度哲学梵文学科卒
1943年/
文学博士、東京帝国大学助教授
1954年/
東京大学教授
1957年/
日本学士院恩賜賞賞
1970年/
財団法人東方研究会創立、理事長就任
1973年/
東京大学定年退官、名誉教授東方学院設立、学院長就任
デリー大学名誉文学博士
ベトナム・バンハン大学名誉文学博士
1974年/
比較思想学会設立、会長就任
紫綬褒章受章
1975年/
天皇陛下にご進講
毎日出版文化賞、仏教伝道文化賞受賞
1977年/
文化勲章受章
1978年/
イギリス王立アジア協会名誉会員
ネパール国王より勲章
1983年/
国際文化賞国際交流基金賞受賞
1984年/
勲一等瑞宝章受章、日本学士院会員
1989年/
松江市名誉市民
1992年/
ドイツ学士院客員会員
1994年/
初代史跡足利学校庠主就任
1999年/
10月10日逝去、享年86歳

中村 元博士の学術的業績

 中村 元博士の研究領域は極めて広範囲にわたり、年代的にも古代から現代にまで及んでいる。その著作の数も量も膨大で、主要なものに限っても、日本語によるもの600余点、外国語によるもの180余点に達している。しかし博士の学問の中核を成し、その業績の顕著な領域はインド哲学・仏教学であるが、比較思想や歴史学に対する貢献もまた極めて大きい。

 博士の研究の出発点となったのは『インド哲学思想』全5巻である。これはインド最大の哲学者シャンカラ(8世紀前半)及びそれ以前の、従来ほとんど不明であった約1000年に亙る初期ヴェーダーンタ哲学史を文献学的・思想史的に再構成したものである。

 膨大な著作の中から博士自ら選んで春秋社から出版されたのが、『中村 元選集[決定版]』全32巻別巻8巻計40巻である。この32巻からなる本巻は、全体として一貫性をもち、インドの思想と文明についての歴史的体系的な叙述を目指している。

 本巻最初の4巻は博士を一躍世界的にした『東洋人の思惟方法』、第5巻から第7巻はインド古代史、それに続く第8巻から第32巻までは、インド最古の『ヴェーダの思想』から『現代インドの思想』に至るまで、博士のいわば詳細な「インド思想史概説」を形成している。

 別巻の『世界思想史』四巻は、個人名や学派名によって章節を立てて論じた従来型の思想史、哲学史とはまったく類を異にし、「世界の諸文化圏における諸文化的伝統において平行的な発展段階を通じて見られる共通の問題の設定」というテーマを、比較という手法によって大々的に論究した独創的な試みである。別巻最後の四巻では、日本の思想が扱われている。

 中村博士の著作の数が最も多いのは仏教の領域においてである。その中でも特筆すべきは平易な現代語で書かれた仏教辞典の編纂・刊行である。自著の『仏教語邦訳辞典』、監修の『新・仏教辞典』を基礎に、不朽の『仏教語大辞典』全4巻を完成させた。これによって専門家のみならず、一般読者も容易に利用出来る仏教辞典が初めて出現した。本辞典が毎日出版文化賞並びに仏教伝道文化賞の授賞の対象となったことは、本辞典に対する学界の高い評価を物語っている。

 博士が日本のみならず、世界の学界にいかに多大の貢献をなし、高い評価を受けていたかということは、国内においては文化勲章などの授章、外国においては数多くの栄誉と名誉学位を受け、また海外の諸大学・諸研究機関からの頻繁な招聘という客観的事実によって知ることが出来る。