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前田庠主のことば(平成26年11月23日)

印刷用ページを表示する掲載日:2014年11月23日更新

今世紀に入って9.11事件に象徴されるように、異なる宗教と民族の間の摩擦が激化し、見るに堪えない紛争と過激なテロリズムが世界各地で頻発しているように思われます。

 このような現実を目にするとき、私は時として、

「恨みに報いるに恨みを以てすれば、その恨みの止むことはない。恨みを捨ててこそやむ。これが永遠の真理である。」

というブッダの有名なことばを思い起こします。

 それと共に、当時30歳の若く無名のヒンドゥー教の出家僧ヴィヴェーカーナンダ(1863-1902)が、1893年9月11日、米国のシカゴで開催された世界宗教者会議で行ったスピーチを思い起こします。これはかれを一夜にして世界的に有名にしたのでした。以下にその抜粋訳を記します。

 「私はこの世界に寛容の精神と全面的受容という二つことを教えた宗教に属していることを誇りに思っています。私たちは全面的な寛容の精神を信ずるばかりではなく、すべての宗教を真実なものとして受け入れます。私は地球上のあらゆる宗教の、あらゆる民族の被迫害者と避難民を庇護してきた民族に属することを誇りに思います。..........私は、兄弟たちよ、私のごく幼い頃から繰り返し唱えたことを覚えており、しかも毎日幾百万の人々が繰り返し唱えている賛歌の中から数行を引用しましょう。

水源を異にする様々な河川の水が、すべて海に流れ込んで混ざり合うように、おお主よ、人々が辿る様々な道は、様々な性向に応じて、曲がっていたり、真っ直ぐであったりしますが、すべてあなた様の身許に参ります。

..........宗派主義、頑迷、そしてそれから派生する恐ろしい狂信が長い間この美しい地球を虜にしてきました。そのためにこの地球を暴力で満たし、幾たびも幾たびも人間の血でびしょ濡れにし、文明を破壊し、すべての民族を絶望に陥れました。もしこのような恐ろしい悪魔どもがいなかったならば、人間社会は今あるよりもはるかにもっと進歩していたことでしょう。..........」

 このようにヴィヴェーカーナンダが寛容の精神とすべての宗教を真実なものとして受け入れる全面的受容の必要性を説き、それを阻む宗派主義、頑迷、狂信という悪魔退治を訴えたのは、今から120年も前のことでした。

 

  平成26年11月23日

     史跡足利学校庠主 前田專學